桃井和馬さん
毎週「こころの時代」を録画して見ている。きのうは再放送で「戦場から祈りへ」というタイトルで、写真家の桃井和馬さんの話だった。強烈な番組だった。
友だちを後ろにのせてバイクに乗り、乗用車と衝突。友だちは意識不明の重体。彼が助かるように祈りに祈った。もし助かったら洗礼を受けると約束し、助かったのでキリスト教徒になる。彼の命と入信との取り引きだったという。そのつぎに、幼ななじみにスケートボードを貸したら、その彼が転倒して頭を打ち、死んでしまった。死の現場に2度も直面したのだ。
それから戦地のカメラマンになることを志し、世界140か国をまわり、紛争の現場を訪れて写真を撮りつづけた。その写真が凄惨で目をそむけたくなる場面が多かったが、それが現実だった。中東やアフリカの内戦、ペルーや中南米の紛争地帯。週刊誌の依頼を受けていたので、戦地と日本とを頻繁に行き来する。やがて、そんな生き方に疑問をいだく。
奥さんの死もあって、それから桃井さんはいのちを撮り、祈る人々を撮るようになった。そして大学で教鞭をとるようになる。若い人に自分の見てきた世界を教えようとするが、どうも伝わらない。知識は豊富だが、体験がないから分からない。
そこで、スペインのサンチャゴ巡礼の旅を企画し、学生たちを歩かせることにした。12人の若者といっしょに旅をする。780kmを35日間で歩き通すという過酷な旅だ。頭をもぎとり、感覚で体験する。この旅で彼らが変わっていく。
この番組をつづけて二度見てしまった。
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