肩が痛いという60代の男性が来た。長いこと保健のために通ってきてくれている。いわゆる五十肩だ。右手を挙げようとするとピリッと痛む。肩の前側の三角筋が痛むのだ。腰背、肩首などに針をしたあと、痛むところにも針をする。
そのあとは、カウンターストレインという治療だ。患者さんがいちばん痛みのなくなる姿勢をさがし、その位置を本人でなく私が固定する。そのとき患者さんはできるだけ力を抜く。数分その姿勢を維持していると、傷んでいた筋肉がゆるみ、それを脳が学習して、ゆっくりゆっくりもとの位置にもどせば痛みが取れるという手技療法である。
だいたいこの方法でうまくいくが、仕事を休めなかったり、またその筋肉に強い負荷がかかると痛みが再発してしまう。
もう一つの方法は、反発運動をさせること。腕が挙がりにくければ、患者さんに痛みが始まるところまで腕を持って行ってもらう。そして私がそこでその腕のひじを押さえ、患者さんに反発してもらうのだ。患者さんはひじを下げようとし、私はそれに抵抗する。
患者さんは痛みの出る側とは反対方向に力を入れるのだから痛まない。5秒ほほど、3回ぐらい。これなら自分でもできるからと、家に帰ってからもやってみてくださいと言う。
力を入れた筋肉はそのあと、ゆるむ性質がある。つまり、腕を下げようとする筋肉がゆるむ。腕を上げようとする筋肉がゆるめば、腕は挙がるようになる。なんどか繰り返すと、かなり挙がるようになるのである。
この方法でだいぶ楽になった。しかし、長いあいだ右手に重いものを持ったりする仕事をしていたので、ちょっと無理をすると痛みがぶり返してしまう。
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