こんなもんじゃ
山崎方代歌集『こんなもんじゃ』より、いくつか引用する。なんとなく好きな歌人である。
・なるようになってしもうたようである穴がせまくて引き返せない
・こんなところに釘が一本打たれていていじればほとりと落ちてしもうた
・戦争が終ったときに馬よりも劣っておると思い知りたり
・手のひらに豆腐をのせていそいそといつもの角を曲がりて帰る
・こんなにも湯呑茶碗はあたたかくしどろもどろに吾はおるなり
・卓袱台の上の土瓶に心中をうちあけてより楽になりたり
・手のひらをかるく握ってこつこつと石の心をたしかめにけり
・いつまでも握っていると石ころも身内のように暖まりたり
・茶碗の底に梅干しの種二つ並びおるああこれが愛と云うものだ
・一度だけ本当の恋がありまして南天の実が知っております
・馬の背の花嫁さんは十六歳方代さんのお母さんなり
・ねむれない冬の畳にしみじみとおのれの影を動かしてみる
・このように生きているのを何となく心苦しく思わないでもない
・しあわせは朝の寝覚めにもどかしく放つくしゃみの中にありたり
・このようになまけていても人生にもっとも近く詩を書いている
・なんという不思議なことだおもむろに蓋をとって茶をのんでいる
・死ぬほどの幸せもなくひっそりと障子の穴をつくろっている
・行く先をもたざるわれも夕方になればせわしく先をぞ急ぐ
・わたくしの六十年の年月を撫でまわしたが何もなかった

「山崎万代」
女性かなぁと思いました。歌集もいいもんですね。
借りてきた言葉や着飾った言葉がない
内容が柔らかい。
平々坦々
難なく
何も無い
日々をすごす
ただ感謝
朝方の3時30分〜4時30分頃は救急車のサイレンの音で目が覚める。
彼方でも此方でも音聞こえる12棟もあれば仕方ない事かもしれない。
投稿: E.A | 2025.07.07 14:00
★E.A.さん、
正直で、ちょっと笑えるいい歌がたくさんあるでしょう。
こんなにも
赤いものかと
昇る日を
両手に受けて
嗅いでみた
投稿: リプル | 2025.07.07 16:33