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2021.11.11

山崎放代の歌

P1270729-2

甲州の柿はなさけが深くして女のようにあかくて渋い

卓袱台の上の土瓶に心中をうちあけてより楽になりたり

しあわせは朝の寝覚めにもどかしく放つくしゃみの中にありたり

かくれんぼ鬼の仲間のいくたりはいくさに出てそれきりである

歌を作れ歌を作れと呼ぶ声が巌とともにとどろきせまる

さいわいは空の土瓶に問いかけるゆとりのようなもののようなり

このようになまけていても人生にもっとも近く詩を書いている

なるようになってしもうたようである穴がせまくて引き返せない

このように生きているのを何となく心苦しく思わないでもない

砲弾の破片のうずくこめかみに土瓶の尻をのせて冷せり

一度だけ本当の恋がありまして南天の実が知っております

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