フォト
無料ブログはココログ

« お盆の灯明 | トップページ | 狛江の花火大会 »

2010.08.05

白い巨塔

Tamiya2ゆうべBS2で、映画『白い巨塔』を見た。1966年の作品というから、今から44年も前の映画だ。山崎豊子原作、山本薩夫監督のモノクロフィルム。田宮二郎が主役、ほかに田村高廣、東野英治郎、小沢栄太郎、加藤嘉、小川真由美など、そうそうたる役者が脇をかためている。

この映画のあと、同じく田宮二郎が主演でテレビドラマ化され、当時はかなり話題の番組だったように記憶している。ただ、わたしは断片的にしか見ていなかったので、今回この映画を見てはじめて内容を確認した。映画は冒頭から胃の手術のクローズアップで、度肝を抜かれる。今でこそ刺激のつよい映画が多いが、当時この映画を見た観客は驚いたことだろう。それから、ブラックチャックばりの財前五郎(田宮二郎)のテクニックに酔い、対照的な学者肌の里見侑二(田村高廣)の堅実さにホッとする。

岡山で農業に汗する母に仕送りする助教授財前五郎は時期教授候補。そのスタンドプレーを嫌う東野英治郎とのあつれき、かけひき。それに女、医師会、医学界の裏側など、どれも面白くてぐいぐい引き込まれ、2時間半の映画はあっという間に終わってしまう。「医は仁術」、とんでもない実は「医は算術」だった。

派閥に組することなく信念を貫く基礎医学の研究者を演じた加藤嘉が印象に残っている。加藤嘉は後年へろへろ老人を演ずることが多くなるが、マルセ太郎さんによると実生活でも意思のつよい人で、「わたしは戦争映画には出ない。ポルノ映画には出ても、戦争を美化するような映画には絶対出ない」と言っていたそうだ。それにしても、山崎豊子という人はすごい。

いい映画は
柔道の上級者に
あざやかな技を
決められたみたい
まいりました

« お盆の灯明 | トップページ | 狛江の花火大会 »

コメント

ぼくも「白い巨塔」を見ました。
田宮二郎の役者としての能力はほんとに高いのだと思いました。

彼の役作りはたいしたものであります。

この山崎豊子さんの視点は今もなお生きている。
それがまた怖い。

為政者の奮闘を祈る!

★荒野人さん、
眉間の縦皺が一本効いてますね。
いい男なんだけど、一抹の寂しさがある。
実際、43歳で自殺してしまいましたね。
たえず緊張感が抜けないような感じでした。
世の中は「まじめ」が通らない。
一すじ縄ではいかないことが分かります。

皆さん見ていらっしゃるのですね。
昨夜は「華麗なる一族」でした。こうして一人の監督のシリーズを放映する理由が判ります。如何にそれぞれの役者の個性を熟知し適材適所に配役し、うまく使ってるか、がわかります。
涼やかでキリッと引き締まった田宮二郎の表情から、駄犬と言われる過去の惨めな生活が滲んで見える冷ややかな感じは、そうそう誰にでも出せるものではありません。

★A.A.さん、
山本薩夫は共産党員だったこともあり、
反体制の映画が多いですね。社会の矛盾を
ついているので真に迫るものがあります。
最近はありがたいことに平和ボケしてか
きりりとした一本筋の入った役者さんが
少ないように思います。幸せな時代だと
喜ぶべきでしょうか。

白い巨塔見そびれてしまいました。終わった頃に気付き、がっかりです。返す返す残念です!

★エノコロさん、
わたしもよく見たい映画を見過ごします。
そんなときは、縁がなかったのだと思うこと
にしています。そのうちビデオ屋で借りても
いい、なんてね。「華麗なる一族」は長いの
で、時間の無駄かなと思って見ませんでした。

コメントを書く

(ウェブ上には掲載しません)

« お盆の灯明 | トップページ | 狛江の花火大会 »