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2014.09.02

セレンディピティー

セレンディピティーという言葉がある。辞書を引くと、思わぬものを偶然に発見する能力、幸運を招きよせる力とある。イギリスの小説家ホレス・ウォルポールが「セレンディップの三王子」というペルシャの童話をもとにしてつくった言葉だそうだ。そこで、この童話を紹介しよう。

セレンディップの三王子(ペルシャの童話)

むかし、セレンディップ(スリランカのペルシャ語)に三人の王子がおりました。王様はこの三人を鍛えるため旅に出しました。王子たとがペルシャに来ると、一人の男に出会いました。

男はひどく落ち込んでおり、王子たちが訳をたずねると「ラクダがいなくなったんだよ。 ラクダを見なかったかね」と言います。王子たちは、まるでそのラクダを見たかのように話し始めました。「そのラクダは片目が見えないでしょう」「歯が一本抜けてるでしょう」「足が一本悪いでしょう」と。

これがすべて当たっていたので、男はびっくり。王子たちが本当にラクダを見たのだと思って、言われたところを探しましたが見つかりません。しかたなく戻ると、また王子たちと出会いました。「あんたら、ラクダはいなかったよ。 本当にラクダを見たのかね」とたずねました。

すると、王子たちはまた話し始めました。「ラクダが背負ってる荷物は、バターとハチミツでしょう」「女性が乗っているしょう」「その女性は身ごもっているでしょう」と。

これもすべて当たっていたので、男は三人がラクダを盗んだに違いないと思い、皇帝に訴え出ました。「あいつらはラクダ泥棒です。私の大切なラクダを盗んだに違いありません」と。王子たちは捕らえられ、なんと皇帝から死刑の宣告を受けました。そんなときラクダが見つかり、王子たちの疑いが晴れました。

皇帝は不思議に思い、王子たちに「どうして見たこともないラクダのことを知っていたのだ」とたずねました。王子たちはこう答えました。「道端の草が左側だけ食べられていたので、右目は見えないと思いました」「草を噛んだ後を見て、歯が一本ないと思いました」「道に片足を引きずった跡があり、足が悪いと思いました」と。

さらに「道の片側には蟻の行列が、反対に蝿が飛び交っていたので、蟻の方がバターで蝿の方がハチミツだと分かりました」「ラクダが座った跡の近くに、用をたした跡があったで女性だと思いました」「女性が座ったであろうところの近くに手の跡がついていて、おなかの大きい女性だと思いました」と。

皇帝は王子たちの話を聞いて、その洞察力におどろきました。そして自分のそばに置き、さまざまな問題を解決させたそうです。やがて、三人の王子たちはペルシャからセレンディップへ帰り、それぞれ別の国の王となって、幸せに暮らしたそうです。

「セレンディピティー」は幸運を招きよせる力で、多かれ少なかれ誰もが持っている。それに気づいていないだけで、感性を研ぎ澄まし、おだやかな心で世の中を見ていけば、きっと煌めくなにかを見つけることができるに違いない。   


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コメント

良い言葉と良い童話をご紹介下さって
ありがとうございます。
プリントアウトしました。
最後の三行・・・そうありたいものです。

投稿: mimoza | 2014.09.02 15:47

24時間放送で総合司会を務めた関ジャニエイトの錦戸クンが出ているドラマ「陰陽屋へようこそ」が
東海テレビで再放送が始まり たまたま見ていたのですsmile
霊能力は皆無、冷淡で面倒臭がりの今風の若者
どんな悩みも巧みな話術で解決してしまうという話のようなんですね
このお話にでてくる王子とは程遠い様に思えますが
でも、持っている感性の豊かさや物事のとらえ方が同じ様な気がしました
テレビを見て直ぐブログを読ませてもらったので
そんな風に思ってしまいましたr(^ω^*)))
回りの者を幸せに導く人、穏やかな人が多いですよね

投稿: エリザベス | 2014.09.02 18:01

★mimozaさん、
ヴィパッサナー瞑想の10日間コースに行ってくると、
それから3か月間ぐらい、ものごとがとんとん拍子に
進むことを何度も経験しています。人との出会い、
仕事のさばきぐあい、問題の解決など。瞑想も
セレンディピティーを高めるようです。宇宙の知恵が
はたらいてくれるような。

★エリザベスさん、
注意してものを見るということが大切なのでしょうね。
五行歌を詠んだり、絵を描いたりすると、周囲のもの
をよく見るようになります。そこで気づきが増え、
日々の暮らしも豊かになるように思います。

投稿: ripple | 2014.09.04 09:47

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