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2014.08.03

『五行歌』8月号の表紙歌

私の国の            杉本浩平
総理大臣は
いつもにこにこ
外国へ原発を
売りに行きます

「五行歌」8月号の表紙歌だ。やさしい言葉づかいながら、じつに辛辣な批判を含んでいる。原発安全神話の嘘、メルトダウンや放射能汚染の恐ろしさ、廃炉への気の遠くなるような作業、使用済み核燃料の処理、故郷を追われた人々の苦悩。原発はけっきょく悪魔であった。こうした背景のもと、原発ゼロが国民の願いであるにもかかわらず、安倍総理はインドやトルコなど、外国に原発を売ろうとしている。大きなお金が動くからだろうが、これはもうほとんど狂気である。国内の事故の責任もとれないのに、外国に原発を輸出しようというのはどう考えてみても正気の沙汰とは思えない。この五行歌はそこを突いている。うまく詠ったものだ。

解説by草壁焔太
時事ものとなると、歌が漢字や人名で硬直しがちである。この歌は、そういう時事歌の重々しさをハナで笑ったような軽さでいく。それでいて、言っている内容が微妙に当たっている。原子力で重大な事故を起こし、一地域が使用できなくなり、その核のゴミ処理のメドも立たず、五十基の発電所が動かせない国の総理大臣が、原子力発電所をにこにこと世界に売って歩く。この感覚としてのおかしさ、奇妙さ、その売人のにこにこ顔は、この歌のようにしか表せない。道義を理屈で論ずれば、千頁もかかるであろう。

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