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2013.08.08

背中、押さないでよ

Img001五行歌の会から飯島治雄五行歌集が送られて来た。『背中、押さないでよ』というタイトルだ。新書版で白地にタイトルが折れるように描かれている。黒く見えるのは誰かの手で、背中を押すように見える。装丁もうまい。本のタイトルは飯島さんのつぎの歌から採ったものだ。

 人生の下り坂
 もくもくと
 歩む
 背中
 押さないでよ

力みのない、淡々とした表現がいい。理屈をこねたり、ややこしいことを言わないのがいい。ほのぼのとした気分になる。いつのまにか月刊誌「五行歌」が送られてくるたび、飯島さんの読むのが楽しみになっていた。こんな歌が書けたらいいな、とも思った。飯島さんは、今年の春、98歳で亡くなられたが、最後の6年間、五行歌を書きつづけたという。飯島さんの作品に癒された人は少なくないだろう。もう少し、飯島さんの歌を紹介しよう。

間違い電話の
お向こうさん
十円分だけ
しゃべって下さい
私は暇

米寿
過ぎても
叱られる
ばかばかしいやら
嬉しいやら

凡人で良いと
決めたのに
心ゆらぐ
やっぱり
凡人だ

長い過去
短い未来

この瞬間が
華なのさ

宇宙に
印した
俺の人生
たった
一つの点

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コメント

98歳でこんな歌を詠まれる何ってすごいですね。
中々良い歌が出てこないので限界かと思っていましたが、
恥ずかしくなったり、励まされたりです。


自分で見限っていては
だめだ
卑下することより
上を向いて歩こう
きっと笑いもあるよ

投稿: tama | 2013.08.09 07:56

良い本ですね。
自然体で。
良い年の重ね方をしたいもんです。

投稿: kei | 2013.08.09 08:16

父を好きでいてくれてありがとう。
父は90歳のお誕生日4日前で亡くなりました。
それも、3月14日ホワイトデーでした。
普通に、
「お水頂戴。」というので、
「あいよ、嚥下肺炎になると死んじゃうからどっくんしてね。」「はい」といった後、目を閉じてしまいました。
ほんとに、「え」しか出なかったです。
五行歌の推敲は亡くなる寸前まで、していましたよ。
6年間、五行歌を会話の中心にして、介護が成り立っていたような気がする。いっぱい本音の話が、楽しくできたことに、感謝してます。今度歌会にお伺いしますので、ゆーくり聞いてほしいです。何を思ったか、愛子は、9月1日オープンの、認知症グループホームのオープニングスタッフとして、ヘルパーの仕事をします。本誌のほうで、ヘルパーの本音歌ばかり投稿するかもです。ありがとうございました。愛子

投稿: 愛子 | 2013.08.09 08:52

★tamaさん、
飯島さんは五行歌との相性がよかったみたいです。
80歳過ぎてから書きつづけられたそうです。
まるで水を得た魚のように。自分の思いや感情を
表現することで人生の最後にすてきな花を咲かせ
ることができました。

★keiさん、
歌にはその人の人柄が出ますね。本性も。
日頃からこころの修行に励まなければいけません。

★愛子さん、
いま「平穏死の10の条件」という本を読んで
いますが、在宅介護で亡くなられる場合、ほとんど
が平穏死を迎えることができるそうです。
早めに救急車を呼んだりすると延命措置をとられ、
死ぬに死ねないような状況になるといいます。
いまの医療では、死は敗北だからです。みんな
いずれ死ぬのに敗北もなにもないのに。

投稿: ripple | 2013.08.09 09:47

素敵な歌ばかりです。ほんの五行の中にお人柄って出るものですね。そしてほんのいくつかの歌を見ただけで、こんな人生を送りたいとお手本に出来るものなんですね。

投稿: エノコロ | 2013.08.09 15:02

★エノコロさん、
読んでいて、なんだかほのぼのとしてくるでしょう。
長いあいだ生きてきた方の言葉には味わい深いもの
があります。淡々と生をまっとうする姿に好感が
持てます。こころの修行が大切だと思わされます。

投稿: ripple | 2013.08.09 17:46

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