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2013.06.10

添削でなく改作する

日曜日のNHK短歌と俳句を見ている。五行歌をつくる上で参考になることがあるからだ。4月から講師が変わり、第2日曜の短歌は斉藤斎藤さん。斉藤が苗字で斎藤が名前らしい。風貌もちょっと歌人には見えない。

番組の後半で、短歌づくりの上達のために、というようなコーナーがある。ここでたいがいの講師は添削をするのだが、斉藤さんは改作を行っている。原作の言葉づかいや語順をなおすのでなく、原作の意図を汲み取って、斉藤さんが斉藤さんの言葉で歌を一首よむのである。添削は原作に手を入れて修正するわけだが、改作は原作をいじることなく、まったく新しい歌をつくるのである。わたしはこれが気に入っている。

P1270320

きのう取り上げた歌はこうだ。

手術終え
まなことじいて
手に触れし
薔薇の花びら
いともやさしき

白内障の手術でもしたのだろうか、その手術を終え、病室で目を閉じているとき、手に触れたバラの花びらがとてもやさしく感じたという歌である。文語調の歌で、「まなことじいて」なんて日常語では絶対つかわない表現だ。「いともやさしき」もまず使わない。これを斉藤斎藤さんは、つぎのように改作した。

麻酔から
さめてゆく手に
触れていた
とてもやさしい
はなびらは薔薇

同じ趣旨の歌が、いっぺんに分かりやすくなった。麻酔からさめてゆくときは意識がぼんやりしている。しかし意識が戻ってくるにしたがって、何か手に触れるものがある。とてもやさしい感じだ。それがバラの花びらだった。

文語の歌は格調が高くなるように感じられることがある。しかし、ふだん使わない言葉なので、どうしても作り手の気持ちとは距離ができる。正直に表現するなら、やはり日常語で書くべきだろう。そして字数に制限を設ける必要もない。すこし工夫して歌らしい雰囲気を持たせればいい。そうなると、どうしても五行歌がいい、ということになる。

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コメント

俳句等に詳しくありませんが
改作は、明らかにわかりやすくなりましたね。
やはり読み手にきちんと伝わることが
大事なように感じました。
どうしても言葉を飾ってみたくなるのですよね。
そうすると乖離が生まれますね。

投稿: しあわせさがし | 2013.06.11 16:30

★しあわせさがしさん、
俳句や短歌は文学の古典芸能のようなものでしょう。
日常語というか、口語でなく、文語や季語など独特の
表現方法を用いるので、思ったことをそのまま表現する
ことはできません。だけど、非日常の楽しみがあって
刺激的ですから。でも、ふだん絶対使わないような
表現をするから「うそ」っぽくなっちゃいます。

投稿: ripple | 2013.06.11 18:36

こんな授業が学校で行われたら文語の歌でも口語の歌でも好きになる生徒が増えそうですね!

投稿: エノコロ | 2013.06.12 17:26

★エノコロさん、
ちなみに、五行歌ではいっさい添削をしません。
本人が推敲すのならいいいのですが、他人が
手を入れると、それはもう原作者のものでは
なくなってしまうからです。どの作品もどこか
いいところがある。それを評価するのです。

投稿: ripple | 2013.06.13 09:25

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