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2011.08.30

森英恵

Morihanae録音しておいた「あすへの言葉」で、森英恵さんの話を聴いた。天野祐吉司会の隠居大学を編集したものだ。森さんは女性にしては低い声だが、変に情緒的でなく淡々と話すところがよかった。

自分で着たいものを自分でつくりたい、そう思って洋裁学校に入る。だけど他人に着せたほうが楽しいかもしれない。そう思ったら、友達が新宿にあるビルの2階を提供してくれた。2階は目立たないのでガラス張りにし、アメリカからマネキン3体を輸入して、オーダーメイドの店を始めた。その店の名前は「日吉屋」。旦那さんが名古屋の出身で、名古屋と言えば、日吉丸だからとか。「とても繁盛しましたのよ」と照れながら話す。

マネキン姿は、新宿の街を行く酔った男性の目も引いたらしい。ある日、映画の美術監督などがやってきて、日活の映画衣装をやってみないかという。なんでも勉強になるだろうと引き受ける。吉永小百合、南田洋子などをたくさんの女優さんの衣装をつくる。やがて銀座にも店を出し、各映画会社の仕事をやるようになった。何百本もやったそうだ。その仕事を通じて、男性の視点から女性を見る見方を教わたっという。

好きなことを始めて、とんとん拍子に売れっ子になる過程はまるで日本版「アメリカンドリーム」だが、働きすぎて体をこわしたこともあるそうだ。50年以上のキャリアはいいことばかりではなかったろう。それでも運がつよい人だなと思う。「品のよいものをつくる」という姿勢を守ったところが、神の思惑と一致したのかもしれない。

森英恵といえば蝶のデザインが有名だが、それは田舎の風景から来ているそうだ。紋白蝶ではパッとしないのでアゲハした。また、アメリカで見たオペラ「マダムバタフライ」がひどかったので、いつかアメリカ人を見返してやろうという気持ちを抱いていたからでもあるそうだ。蝶々夫人が下駄を履いて畳の上を歩いていたという。森英恵さんも、安かろう悪かろうの日本のブランドを打ち消すのに一役かったようだ。


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