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2010.07.09

みんな死ぬ

朝早く玄関のチャイムがなった。ドアを開けると、男が立っていた。「けさ零時40分、弟が亡くなりました。弟はいま家に帰ってきています」と、目を赤くして話す。先日お見舞いに行った彼の兄貴だ。わたしの祖父の弟の孫だから、わたしとはハトコの関係になる。仏さまは独身で親もいないので、そばの親類であるうちへ兄貴が連絡にきたのだ。

さっそく、お線香をあげに行った。仏さまは肝硬変だったので顔が黒ずんでいた。それから数人で葬儀の相談をした。はじめは身内だけでやりたいということだったが、近所づきあいもあるのでふつうの葬儀をすることにした。ひとつのけじめである。密葬もいいが、あとから話を聞いた人たちが個々に来たりして、接待などけっこう大変なのである。

葬儀屋、菩提寺、親類などに連絡をし、火葬場のつごうでお通夜はこんどの日曜日、告別式は月曜日になった。菩提寺の住職は東京のお盆があるので時間がとれず、別のお寺のお坊さんを頼むことになった。葬儀屋さんとの打ち合わせは二時間ぐらいかかった。祭壇の様式、役所への届出、故人の写真、会葬者の想定数、初七日のこと、講中ぶれ、手伝い、生花、料理、納棺、マイクロバス、等々。

兄貴は弟の病院に詰めていたので、ほとんど眠っていないだろう。そこへ一度にいろんなことを決めなければならないので大変だ。悲しんでいるヒマなどない。そこで、われわれ親類が手伝うことになる。以前はテントを組み立てたり、料理をつくったりで手が必要だったが、近年は葬儀屋に頼むことが多くなり、ずいぶん楽になった。

人をひとり送るのは大変である。西洋ではあっさりしているが、日本ではどうも大きな行事になってしまう。大きな金額が動くのでいいビジネスになっているのだ。幻冬舎新書、島田裕巳著『葬式は、要らない』の紹介文を引用しておこう。

日本人の葬儀費用は平均231万円。これはイギリスの12万円、韓国の37万円と比較して格段に高い。浪費の国アメリカでさえ44万円だ。実際、欧米の映画等で見る葬式はシンプルで、金をかけているように見えない。対して我が国といえば巨大な祭壇、生花そして高額の戒名だが、いつからかくも豪華になったのか。どんな意味があるのか。

五行歌

その人だけが
死ぬのではない
みんないずれ死ぬ
なにをそんなに
騒ぐのだ
 


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コメント

夫の葬儀を出しました。
何が何か分からぬまま喪主でした。
葬儀が終わって
すべての人が周りから消えて
堰を切って悲しみが襲いました。

投稿: みかん | 2010.07.09 22:55

★みかん、
お葬式はちょっと騒ぎ過ぎにきらいがありますが、
なにも分からないうちにお別れの儀式を済ませ、
けじめをつけるのはいいことかもしれませんね。
それこそ、悲しんでいるヒマもなく。
 ほんとうの別れは最低でも一年かかるでしょう。
いろんな行事にいるべき人がいないことを納得する
までは。やがて女性は元気になるようですが。

投稿: ripple | 2010.07.10 11:59

本当にそう思いますね。
うちのお婆ちゃんは家族葬にして身内だけが
寄ってくれたらいいと言ってますが。。。
難しい問題ですよね。

投稿: ミモザ | 2010.07.11 09:51

★ミモザさん、
ある親戚のうちではお返しを一切出しませんでした。
香典の大半を福祉施設に寄付をし、その受け取りを
コピーして通知しました。でも祭壇はふつうのまま
でした。「葬式は、要らない」を読んでみます。

投稿: ripple | 2010.07.11 10:01

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