« 作品95 | トップページ | 食道と気管 »

2009.09.18

千住真理子リサイタル

Senju2

麻生市民館の「千住真理子、ヴァイオリン・リサイタル」に行った。芸術の秋だからというのではなく、千住真理子のファンだから行ったというべきだろう。丁寧に思いを込めて弾く彼女の姿勢が好きだし、名器スラディバリウスの音がまた格別だからだ。

夜7時開演。千住さんは、はじめにバッハとモーツアルトの小品を演奏した。ピアノ伴奏は、グレーの髪をボサボサにのばしたお茶の水博士のような藤井一興(かずおき)氏。千住真理子さんは赤味がかった金色のドレスに大小の黒い水玉をあしらった衣装で登場した。笑顔が素敵である。メインはベートーヴェンのヴァイオリン・ソナタ第7番。低い音が唸り、高い音が空気を切り裂く。この曲は上質な教会音楽のような感じがしたが、あまり馴染みがない曲だったので、後半は少し眠気が来てしまった。

休憩後は音楽評論家の日下部吉彦氏とのトークがあり、日下部さんは千住さんの人柄をよく引き出していた。千住さんのヴァイオリン「ディランティ」はわがままで24時間ケアしないといけない、ボーイフレンドをつくる暇もないという。それから、ヴァイオリンの演奏には体力が欠かせないので、最近、千住さんは生卵を二つ三つ飲んでいるようだ。

プログラムの曲を演奏したあと、鳴り止まない拍手に千住真理子さんは再び舞台に出てきた。「愛の挨拶をやってくれるといいね」と京子に言うと、アンコール曲は期待にたがわずエルガーの「愛の挨拶」だった。2曲目は、兄千住明作曲の「風林火山」。そして、アンコール最後の曲は「チャルダッシュ」だった。これはフィギャスケートの浅田真央が好んで使っていた曲である。乗りのよい曲で、締めくくりにふさわしい。

若い演奏家は楽譜に忠実に弾くが、「はい弾きましたよ!」という感じで終わってしまうことが多い。テクニックはすぐれているが何かもの足りない。ところが千住さんぐらいになると、非常に表現が豊かになり、思いが伝わってくる。ていねいに、しかしメリハリをつけて演奏し、ヴァイオリンがあたかも生き物のように歌い出すのだ。

気に入ったCDを2枚買い、列に並んで、本人にサインをしてもらった。元気あふれる笑顔がいい。握手した細い手があの演奏をしていたかと思うと感激である。サービス精神も旺盛な方だ。幸せな気分で外に出た。

三百年以上も
前に造られた
ヴァイオリンが
現代人の胸に
ひびく


« 作品95 | トップページ | 食道と気管 »

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)




« 作品95 | トップページ | 食道と気管 »