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2009.08.20

しんゆり歌会

きのう、第14回新百合ヶ丘さつき歌会があった。暑いのにもかかわらず、参加者は十四人だった。新しい方が一人加わった。一席の歌は二首。

いつまでも来ない友     中川(一席)
待ちながら
風船ガムの銀紙に
くすんだ街を
包んで捨てる

シャボン玉の                 とし子(一席)
虹の色
幼子は
両手に包む
夢まで一緒に

中川さんの歌は「風船ガムの銀紙に、くすんだ街を包んで捨てる」という表現がじつに詩的でうまい、うますぎる。いつまでも来ない友に多少いらだちを感じながら街を見ると、曇り空の下にくすんで見えた。その街を捨て去ったという。この表現力は見習いたい。とし子さんの作品。シャボン玉が飛んだら、子供は好奇心を全開にしてはしゃぐ。大人もなぜか楽しくなる。虹色に輝くシャボン玉には夢がある。いつまでも夢を追いかけていたいものだ。

向かいあって         神川(二席)
そうめんを啜る
いつかは終わる
子と過ごす

母親が子供の将来を気にかけている景である。いつまでたっても子供は子供だけれど、いずれ別れなければならない時がくる。こうして素麺を啜るのもこの夏が最後だろうか、などとしみじみ思う。細く長いそうめんが効いている。うどんでは、こうはいかない。

寄り添いて           黒田(三席)
よりそいて見る
遠花火
思い出した様に
ドーン

おはよう!と声をかけると  片野(三席)
”ニコーッと振り向き
いっぱいの皺と細めた目が
同化した笑顔”は
母の武器

黒田さんは、ご主人との思い出を詠んだ。なぜか、思い出したようにドーンというのが面白い。そんな時もあったなあ、とみなさん述懐。ご主人もときどきドーンと現れるのかもしれない。片野さんのお母さんは百五歳。健康でなんでもできる。顔の皺と細めた目が一体になって、ニコーッとやられたら何も言えない。

沖縄の             高岡(四席)
海と空の中間に咲く
真紅のハイビスカス
まるで
この世とあの世を結ぶような

自然界の動物は       京子(四席)
病気を自分で治すのに
人間は
どこでどうして
その力を失ったのか

沖縄の真っ青な空と海、そして真っ赤なハイビスカス。色が鮮やかで美しい。沖縄といえば、太平洋戦争のとき本土の防波堤となって多くの尊い命が犠牲になったところ。あの世とこの世を結ぶように真紅のハイビスカスが咲いている。さもありなんと思わせる。京子の歌は簡単明瞭である。動物は本能と直感力がすぐれているから、自然治癒力を最大限に生かして病気を治すが、人間は頭が優先するから、そういう感覚は衰えてしまった。考えてみれば、病院で出産するなんてちょっとおかしな話だ。軽い病気でもすぐ大学病院に行くのも変だ。回虫がいなくなったからアトピーが流行るようになったという説もある。

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コメント

生を積み重ねてこられた人ならではの歌と思います。
奥様の歌、治療家として身近に感じます。
先生の歌会提出歌も聴きたかったです。
盛況のご様子ですね。先日の取材後出席者増加したと思います。

投稿: 10月のマルコ | 2009.08.21 08:55

お盆さま
列島こぞって
大移動
これが
日本の夏なのである

これが私の歌で、すでにブログに乗せたものです。
本当に人生経験が豊かな人たちの歌は味があります。
われわれの知らない戦争の話なども聞けるので、
貴重な時間です。

投稿: ripple | 2009.08.21 09:08

片野さんの「母の武器」・・・
 亡き祖母を思いだしました。
 お元気でもっともっと長生きしてください。

京子さんの「自然治癒力」・・・
 人間は大事なものを振り落とし急ぎ足で歩いている~

回虫がいなくなったからアトピーが流行った?
何となくうなずけますね。

投稿: namiko | 2009.08.21 14:17

★namikoさん、
105歳となると、もうそこにおられるだけで頭が下がります。
顔の皺が数々の歴史を物語るようです。苦労した人ほど笑顔が
美しいということばがありますが、本当ですね。

投稿: ripple | 2009.08.21 15:11

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