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2009.02.24

おくりびと

Okuribitoおくりびと』は相当いい映画らしい。アカデミー賞の外国語映画賞をとったのだから、西洋人の心を大きく動かしたのだろう。本木雅弘の納棺師としての手さばきがいいという。使者をねんごろに扱い、あの世に送るのがいいのだろう。
 英語の Departures(旅立ち) というタイトルもいい。とくに複数形がいい。人は誰しも死ぬのだから。

3年ほど前のこと、JAセレサ川崎が親類の葬儀を受け持ったとき、初めて納棺師というのを見た。納棺に立ち会う遺族や参列者の前で、白衣を着た若い納棺師が死者を慎重にかつ手際よく着替えさせ、男性だったので、ていねいにカミソリで髭を剃った。一連の態度が、いかにも使者を大切に扱っているように見えて、こういうのもいいもんだなあ、と思ったものだ。そのあと、同じ納棺師が女性に死化粧をして納棺するのにも立ち会った。京子は「人前で着替えさせるなんて、わたしは嫌よ」と言っていた。女の人から見ればそういうものかもしれない。

たまたま夕べ、BSでジョン・フォード監督の『怒りの葡萄』を見た。『エデンの東』などで知られるスタインベックの名作の一つだ。こちらはモノクロ映画だったが、ヘンリー・フォンダの若いことといったらない。アメリカがまだ貧しい時代で、夢を抱いて一家でカリフォルニアに行く。そこで一旗あげようと思ったが、その夢が打ち砕かれる。つらく悲しい物語だ。

Grapes
The Grapes of Wrath (怒りの葡萄)

おんぼろ車でカリフォルニアに向かう途中、祖父が亡くなり、祖母も後を追う。もともと遊牧民だから、葬儀もあっさりしたものだ。祖母のほうは葬儀の場面すら映らない。そこへ行くと、農耕民族は死者や先祖を大切にする。映画『おくりびと』も、そのへんが西洋人の心を揺さぶったのだろう。


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コメント

原作となった青木新門氏の『納棺夫日記』は読んだのですが、この映画は私も見逃していました。
周囲の評判は、みな絶賛でした。

私事になりますが、先月末、一人暮らしをしていた父が入浴中に心筋梗塞を起こして亡くなり、翌日発見されました。警察が調べている間、遺体はずっと浴槽の中でそのままでした。そして調べが済むと、葬儀社から派遣されたスタッフが「これは私たちの仕事ですから」と言って、風呂の中で半日以上経過した父の亡骸を、実に丁寧に運び出してくれたのです。

父の死はあまりに突然のことで深い喪失感に襲われましたが、あのときのスタッフの方々の態度はとても印象に残りました。
「あまり知られていないけれど、とても大切な仕事なんだね」と妻と語り合いました。

投稿: snowman | 2009.02.24 13:49

友達が、原作を(といっても「おくりびと」というタイトルなので、脚本でしょうか)読んで、とてもよかったというので、図書館に予約中です。映画もよさそうですね。テーマから、敬遠していましたが見てみようかと思っています。

怒りの葡萄、学生のころ読みました。とても悲惨でたまらない気持がしたのを覚えています。ヘンリー・フォンダ、若くて可愛い!西部劇で確かワイアット・アープに扮したフォンダがチャーミングで好きでした。

投稿: めろん | 2009.02.24 22:39

★snowmanさん、
お父さんが亡くなられたとのこと、ご冥福をお祈りいたします。死んで意識がなくなっても、大切に扱ってもらうと嬉しいですよね。お気持ちよく分かります。長患いもつらいですが、突然の死も思い残すことが多くなりますね。すみません、snowmanさんがどなたのか失念いたしました。

★めろんさん、
ていねいに、慎重に、死者との別れをつかさどる人をただ淡々と描いていくのがいいのでしょうね。重いテーマですが、だれにも必ず出会うこと、それをそのまま撮ったのがよいのでしょうね。近くの映画館に来たら見に行きたいと思います。

白黒の「怒りの葡萄」は、多少南部訛りの英語と衣装や道具が見られて味がありました。

投稿: ripple | 2009.02.24 23:44

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