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2008.07.08

チベットの収容所

ここ数日、「チベットの強制労働収容所」というDVDの翻訳にかかりっきりだった。記録映画のナレーションだから、それほど量はないと聞いていたが、しゃべりが意外に速く、思っていたより時間をくった。

けっきょく全訳し、それを要約した文をつくった。すこし、その内容をここに載せてもいいだろう。できるだけ多くの人に知ってもらいた事実だから。翻訳はボランティアだが、この仕事を請けてよかったと思っている。

→ダライ・ラマ法王日本代表事務部

チベットの強制労働収容所

 1949年、中国はラサに軍隊を送り、チベットを侵略した。当時、ラサには刑務所が二つしかなかったが、現在、ラサは刑務所や留置場、強制収容所であふれている。そこに収容されている囚人の数は、全中国の囚人の数よりも多いという。

 1995年だけで39回の平和的デモ行進が行われ、230人が逮捕された。予言によって、ベンジョン・ラマの生まれ変わりであるダッシュ・リンボーという少年が次のダライラマになることに決まっていたが、中国軍はとつぜん彼の家にきて、6歳の少年を拉致したのだ。このときは刑務所に入れられたものは少なかった。チベット人はチベットの国旗を掲げ、国歌をうたい、手に手にダライ・ラマの写真をかかげ、平和的なデモ行進をした。新しいチベット政権が秘密裏に結成された。

しかし今では、ダライ・ラマを信奉したり、ダライ・ラマの写真を持っているだけで逮捕され、投獄される。「チベットに独立を! チベットに自由を!」と叫ぶだけで、厳しい弾圧を受ける。人権を要求するデモも禁止され、それを破ると、殴られ、蹴られ、逮捕され、厳罰にに処せられるのである。年齢は関係ない。3歳から12歳ぐらいまでの子供まで捕まり、大人たちと同様、弁護の機会もなく刑務所に送られる。記録によると、多くのチベット人が人生の最善の時期を刑務所や強制収容所で過ごすことになった。その結果、何千人、何万人ものチベット人が餓死した。こうした被害を免れた家はほとんどないといっていい。

刑務所は中国政府の刑罰の最前線である。囚人は一方的に書かれた罪状を認めなければ、それを認めるまで拷問にかけられる。かつて収容されていたチベット人の証言によると、拷問には34種類あったという。1986年の国連の拷問禁止条約に批准し、また中国の刑法でも拷問を禁止しておきながら、刑務所での暴力は日常茶飯事だった。銃の背中で殴る、汚物のなかにつける、宙吊りにする、犬のように引き回す、独房に縛り付ける、7000ボルトの電気ショック棒で口や膣を突く、などさまざまな拷問がおこなわれた。

 中国はまた、チベットの自然を破壊している。すでにチベットの森林の40パーセントが伐採されている。木材の運搬も囚人の仕事であった。3000人の政治犯のなかにはロザン・テンジンがおり、現在、木材運搬の仕事をさせられている。彼はユーロ・ダワ・ツリンとともに死刑判決を受けたが、中国に対する国際世論の批判が高まり、終身刑に減刑された。

過去47年の中国支配のあいだ、チベットの刑務所は巨大な墓場としても機能した。中国のチベット侵略で150万人のチベット人の命が奪われた。およそ173千人が強制労働収容所で死んだ。中国は長いあいだチベット人を痛めつけてきた。同時にチベット文化やチベット人の誇りを踏みにじってきた。チベット人の犠牲たるや、想像を絶する。苛酷な労働をしいられ、経済大国中国に無理やり貢献させられてきたのだ。

みなさん、考えてほしい。

自分の国を守ろうとして、逮捕され、拷問を受けるということを、

民族の宗教指導者を拉致されることを、

チベットに自由を、と叫んだだけで、20年以上も強制労働をさせられることを


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コメント

先生の慈悲のお心に感動しました、胸が熱くなりました。
誰の為でもない、先生自身の為でもない、チベットの為でもない。ただ慈悲の心がそうさせたとしか思えません。

投稿: 10月のマルコ | 2008.07.08 20:18

お仕事の他にDVDの翻訳までなさって、多才ぶりが伺われます。
ブログ更新の回数も減ることなくてスゴイですね。
読むに耐えない恐ろしいことが行われていて、
とても同じ地球上で起こっている事とは思えません。
神様、助けて下さいと言いたいです。

投稿: ミモザ | 2008.07.08 21:03

お久しぶりです。
DVDの翻訳も素晴らしいですね。
チベットと中国の事は先日からのニュースで
関心はあったんですが・・・
この翻訳を読むと涙が出てきます。
あまりにもむごい話です。
今もこういうことが行われていると思うとあまりにも悲しい事だと思います。
こういうことを知って、自分は何が出来るんだろうと
チベットの人達の幸せを願うだけしか出来ないのでしょうか?

投稿: yoko | 2008.07.08 23:02

★マルコさん、
翻訳の仕事は好きです。
ただ今回は原稿がなく、ヒアリングだけだったので
苦労しました。英語に訛りがあり早口だったのです。
チベットは悲惨です。欧州の首脳が北京五輪の開会式
に参列を拒否するのは当然でしょう。

★ミモザさん、
拷問の内容はもっと詳しく書いてありました。
ここでは訳文のほんの一部を載せただけです。
こういうDVDは大勢の人に見てほしいものです。
依頼者に言って、youtubeに載せるよう話して
みます。チベットの平和を祈りましょう。

★yokoさん、
おひさしぶりです。お元気そうですね。
河口慧海の「チベット旅行記」を読むと、
チベット人の素朴さ、人なつこさが目に浮かびます。
あの人たちが中国軍に蹂躙され、無実の罪で投獄
され、拷問を受け、餓死させられてゆく。
搾取、自然破壊も目に余るものがあります。
こんなことが許されていいはずがありません。
署名運動などで協力していきましょう。(^-^)

投稿: ripple | 2008.07.09 07:51

今の時代やっかいな問題は見てみぬふりをして通りすぎる場面が多すぎます。
同じ地球でこのコメントを書いている瞬間にも起こっている事・・・
きちんと認めていかなくては、と思います。
私も正直詳しくは知りませんでした。
rippleさんの翻訳で少しずつ考えるきっかけを得る事ができました。

投稿: あおむし店長 | 2008.07.09 11:40

DVDの翻訳 よくお出来になられると感心しました。
恐ろしくて読むに耐えないです。
私達に何が出来るのでしょう?
最近思うのです。いくら平和を祈ってもどうにもならないことを、、
何か少しでもお役に立つ事はないのでしょうか?


投稿: sakura | 2008.07.09 21:11

★あおむし店長さん、
「チベットー受難と祈り」という集会があります。
そのパンフレットをあした載せましょう。
個人で何かできることがあるかもしれません。

★sakuraさん、
本当に、訳していてイライラしてきました。
中国の陰惨なやりかたに腹が立ってきました。
私も人間は救いの無い動物だなと思うことがあります。
何かできることがあるか調べてみますね。

投稿: ripple | 2008.07.09 23:31

ご多用のところ、DVDの翻訳を引き受けて下さって、本当にありがとうございました。
ご迷惑をおかけする形になり、心苦しかったのですが、先生にお願いして大正解だったと思います。

投稿: あじさい | 2008.07.11 12:14

★あじさいさん、
原稿がなく、ヒアリングだけでしたので、
けっこう聞き落としがあるかもしれませんが、
分かりやすい日本語になったと思います。
有意義なボランティアができて満足です。
きょう南さんにチベットのチラシを頼み
ました。あちこち配布します。(^-^)

投稿: ripple | 2008.07.11 13:27

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