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2008.07.01

みんな生きていればいい

録画しておいた「課外授業・ようこそ先輩」を見た。タイトルは、「みんな生きていればいい」だ。先生は東大助教授の福島智さんである。福島さんは3才から9才にかけて視力を失い、さらに18才までに聴力を失った。全盲ろうという重複障害者である。

Fukushima 1983年、都立大に入学し、盲ろう者として日本で初めて大学進学を果たした。大学では教育学を専攻し、卒業後、都立大助手、金沢大学助教授を経て、2001年、東京大学助教授となった。現在、東京大学先端科学技術センターにおいて、バリアフリー研究に力を注いでおり、2008年5月、博士号を取得している。

目が見えないということだけでも大変なのに、そのうえ耳が聞こえないとなると、自分と自分以外のものの接点は、触覚、嗅覚、味覚しかない。お母さんが指点字という方法を開発し、点字を打つ指を福島さんの指に重ねて打つようにした。それに慣れると、かなりの速度で話を伝えることができるようになった。福島さんは他の人とコミュニケーションがとれないのが一番つらかったという。

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小学生たちが耳にヘッドホンをつけ、さらにアイマスクをかけて、もう一人に先導されて飲み物を取りに行くシーンは感動的だった。目が見えないから思うように歩けない。耳が聞こえないから、言葉で注意しても伝わらない。先導する友達の手が離れたときの孤独感といったらない。

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全盲ろうの人は自殺を試みる人が少なくないそうだ。福島さんもどん底に陥ったが、「これは神が私にくれた苦悩なのだ。この苦悩を一生懸命乗り越えていこう」と決めたそうだ。そうしたら気がらくになったという。

最後に子供たちからの質問があった。「いちばん辛かったことは?」という質問には、「人間はひとりでは生きていけない。なのに、コミュニケーションが取れなかったことです」と答えた。「いちばん嬉しかったことは?」とい質問には、しばらく考えてから、「いま生きていることです」と言った。目頭にツンと来るものがあった。

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いちばん嬉しいことは何ですか
と小学生にたずねられ
いま生きていることです
と全盲ろうの東大助教授
生きていることは至福なのだ


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コメント

人は知恵が有るために苦しみ、また微笑む、知恵を微笑むほうに有効的に使いたいと、歌を詠み思いました、
PS,今日多磨霊園、深大寺行きまして、先生のブログで観た、蕎麦やさん、多聞に行き久し振りに美味しい蕎麦昼食を食べました、登戸近くも通り、先生今頃診療だろうな、と思いながら運転しましたよ、

投稿: 10月のマルコ | 2008.07.01 19:17

バリアフリーは、施設だけでなく、心の中に皆さんが自覚することが一番大切なんですね。

投稿: 井中 平 | 2008.07.01 19:54

★マルコさん、
いのちって何だろうと考えさせられました。
小学生たちにとっても貴重な体験だったと思います。
多磨霊園はお墓参りでしたか。多聞、グーでしょう。
たまにはお寄りください。(^-^)

★井中平さん、
乙武くんがよく言っていましたが、
心のバリアフリーが大切だって。
あとは差別、人類はみな親戚なのにね。(^-^)

投稿: ripple | 2008.07.02 13:26

辛い人生を
生き抜くことを
教えに降りた神の
使者かもしれない
ヘレンケラーのような

そんな気さえします。身近で助ける人が
必ずいるというのも不思議です。

投稿: ミモザ | 2008.07.03 16:57

★ミモザさん、
福島さんはまったくヘレンケラー女史と同じ障害です。
いい五行歌をありがとうございます。(^-^)
福島さんは指点字の教え子と結婚されました。
ですから、奥さんが指文字通訳をされています。
テレビに出ている人とは違うようですが。

投稿: ripple | 2008.07.03 18:23

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