俳優くずれ
胸のあたりが気持ち悪いという75歳の男性が治療に来ている。病院でいろんな検査をしたが原因が分からないらしい。軽いウツというか、認知症のけがあって、目に勢いがない。付き添いの弟さんに聞くと、内科や精神科の薬を8種類ぐらい呑んでいるという。薬の副作用が関係しているようにみえる。
最初に来たときは、表情がなく、かなり認知症(老人性痴呆症)が進んでいるように見えた。一人暮らしなので話し相手がいない、ほとんど家を出ない。だから手足の力が弱っている。デイサービスなどには行きたがらないそうだ。上部胸椎のきわに鍼を打ち、背中に温灸をした。右下肢の坐骨神経痛があるので、その治療もする。それから仰向けにして、胸部に鍼を打ち、直接灸をした。手首付近の内関というツボや、足の三里にも鍼をした。弟さんには10回ぐらいを目安に通ってくださいと話しておいた。
きょう3度目の治療だったが、相変わらず気持ちが悪いという。だが表情はまたよくなったように感じた。同様の治療をし、胸部の肋骨に沿って浅い鍼を打った。驚いたのは、前より会話をするようになったことだ。それが面白い。
「わたしは俳優くずれなんですよ。日本映画学校というのに通って、それから日活の映画に出ました。裕ちゃんが全盛の頃ね。いろんな映画に出たよ、その他大勢でね」
「じゃあ『嵐を呼ぶ男』なんかにも出ましたか」
「ああ、出たよ。大抵の役者は知ってるよ」
「赤城圭一郎も知ってますか」
「知ってるよ。浅丘ルリコや白木マリなんかもね。北原三枝はいわゆる美人じゃないが、綺麗だったね。調布の日活撮影所にはよく通ったもんだ」
治療を終わろうとすると「きょうは胸のお灸はしないのですか」という。どうやら胸のお灸が気持ちいいらしい。初回の様子からはずいぶんよくなっているように見える。目に力が入ってきた。見通しは良好だ。

コメント
この間、読んだ本に薬の副作用というか害について
書かれていて興味深かったです。
今、飲んでいる薬をやめるだけで治る病もあるとか。
鍼灸が副交感神経を刺激してリンパ球を増やすので
すごく良いと書かれていました。
この俳優崩れの男性は、今回良い選択をなされたと
思います。軽快されるのも時間の問題でしょうね。
投稿 ミモザ | 2008.01.13 11:02 午前
★ミモザさん、
薬をやめると体調がよくなるということは多いですね。
薬はからだの化学反応系に作用しますから、それを
どっさり飲んだら変にならないほうがおかしいですね。
いまは保険のおかげで薬の呑みすぎの人が多いですね。
かといって、調剤の薬剤師は医師に文句が言えない。
食べていけなくなるから。困ったものです。
鍼灸はまず副作用がないので安心です。(^-^)
投稿 ripple | 2008.01.13 01:27 午後