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2007.11.26

点と線

テレビ朝日で24、25日の連夜放送された『点と線』は、思いの他よい出来だった。これを始めて読んだのは40年前ぐらいだから、おそろしく古い話だ。東京オリンピックより前の昭和32年の話だが、わたしが読んだのは昭和65年ごろ。だから交通機関も発達していて、途中でからくりを見破ってしまった。しかし、昭和40年ごろ読んだとすれば、すごい傑作である。

Photo2今回のドラマでは、東京駅での空白の4分間に視聴者を釘付けにして、この事件の肝心なネタを最後の最後までうまく隠し、浜辺で子供たちが遊んでいるのを見て、トリックに気づくように仕組んであった。それだけ引っ張ってから種を明かしたぶん、古臭さを感じさせないドラマに仕上がっている。また敏腕な鳥飼刑事(ビートたけし)の娘と、彼と一緒に仕事をした警視庁捜査2課の三原(高橋克典)が、40年後に再会し、事件を回想するようにつくってあるのもうまい。再会したときは40年後だから、池内淳子と宇津井健がその役をやっていた。

松本清張は末端の生活者や下級官僚、政治家、刑事などを駒に使いながら、日本全体のゆがみをを赤裸々に描いてゆく。いつもながら、その緻密な観察力、洞察力に舌を巻く。今回は役者もそうそうたる面々だった。ビートたけしは個人的にはいまいち好きになれない男だが、無骨な執念深いコロンボのような田舎刑事の役がぴったりはまっていた。とりまきの役者がよかったせいもあるだろう。


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コメント

私もドラマ観ました、名作は本当に人の心を魅了しますね、

投稿: 10月のマルコ | 2007.11.26 11:39

★10月のマルコさん、
松本清張はすごい人ですね。むかしは、彼のファンで
推理小説を読みふけり、朝になったことがしばしばあります。

投稿: ripple | 2007.11.26 16:02

自分は高校のとき「点と線」を読み、その後大学卒業まで松本清張を読みあさりました。
ところで、冒頭の香椎の海岸のシーンで「昭和32年4月21日・・・」のナレーションがあったときはびっくりしました。
その日は、なんと私の誕生日・・・
清張に嵌まり込んだのも何かの縁かな?て思いました。
また、「清張」を読み返そうかな?

投稿: S32.4.21 | 2007.11.28 14:56

★S32.4.21 さん、
書き込み、ありがとうございます。
そんなことってあるんですか、それは驚きますね。

松本清張の作品は、いつも言葉に出来ないほどの
充足感を味わうことができますね。
球形の荒野、Dの複合、鬼畜、ゼロの焦点、
ある小倉日記、など。

わたしもまた読み返したくなりました。

投稿: ripple | 2007.11.28 21:22

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