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2006.10.18

ちいさな親切

地下鉄の切符売り場の前で、中年女性が手をすべらせて、小銭がチャリンチャリンと床に散らばった。なかにはコロコロ転がって遠くに行くものもある。女性はあわてて小銭を拾い始めた。わたしも、その女性の視野に入らないところにまで転がったお金を拾ってあげた。たった20円だったが、それを彼女に手渡した。「ありがとうございました」、それだけだったが、ま、小さな親切をしたと思った。

電車の中でいちばん端の座席に若い女性が座っていた。その隣の座席に大きな買い物袋が置いてあった。その荷物があるため、7人掛けの座席には6人しか座っていない。しかもその荷物の前にかなり高齢の婦人が立っている。私はドアに近いポールにつかまって立っていたが、そのことが気になった。端っこに座っている女性が自分の荷物をひざの上にのせれば、老婦人が座れるのにと思った。その端に座った女性も、少し荷物を気にしているようで、荷物と老女とをチラチラ見ていた。

しばらくその光景をながめていたが、やはり気になって、というか妙な正義感にかられて、わたしは端に座っている女性に近づき、軽く肩を叩いて小声でこういった。「この荷物をひざの上にのせれば、そちらの方が座れますよ」と。そうしたら、女性は「これは、わたしのものではありません」と困ったように言うではないか。わたしは、「あ、そう、ごめんなさい」と言うしかなかった。わたしの思い違いだったのだ。わたしはもう一度「ごめんね」というと、その場所からすこし遠ざかった。

電車がつぎの駅につくと、2、3人が降りて空席ができた。すると老女は例の大きな荷物を持って、べつの空席に向かい、そこに腰をかけた。荷物はひざの上に抱え込んだ。たしかに荷物は老女のものだった。わたしは端に座っている女性のものとばっかり思い込んでいたのだ。老女が荷物を置いたところの空間が自分が座るには狭かったのだろうか。なぜ荷物だけ座席において立っていたのだろうか。わたしには分からない。しかし、わたしが端に座っている女性に「この荷物をひざの上にのせれば、そちらの方が座れますよ」と言ったのは、まったく余計なことだった。結果的には「小さな親切・大きなお世話」になってしまった。ちょっと恥ずかしかった。


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コメント

お金を拾って下さる優しい男性は
結構いらっしゃいますね。
「大きなお世話」のお話。今の世の中に
rippleさんのような方が増える事を
願います。
きっと世の中が良くなりますよ(^^)v

投稿: なっちのママ | 2006.10.19 16:39

電車の中でのケータイ使用も何度か注意したことがあります。
だいたいは謝ってくれますが、しかとされることもあります。
ただ、つい相手を見ちゃう。こわいお兄さんだと、・・・沈黙!
喧嘩はしたくありませんからね。

投稿: ripple | 2006.10.19 19:09

実は私も黙っていられない性格。
つい目に余ったら注意します。
でも最近は普通の方でも直ぐ事件を起す気がします。
嫌な怖い世の中になってきましたね。
阿部さんが 美しい日本。美しい子供を作る。との事
子供達に良い教育をして欲しいですね。
親もしっかりせねば・・・

投稿: sakura | 2006.10.19 20:04

教育はほんとうに大切ですね。二、三才からの教育が
とくに大切だから、主婦は子供が育つまでは家庭にい
て、きちんとしつけをしてもらいたいと思います。

投稿: ripple | 2006.10.20 08:47

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