鍼治療にみえる患者さんは腰痛や肩こりの人が多い。そういう人にはよく姿勢の話をする。背中や腰がまるい人が多いからだ。痛みのあるときは楽な姿勢でそれをやりすごせばいいのだが、そうでなければ意識的に正しい姿勢をとらないと、背中や腰がまるくなってしまう。それがまた腰痛や肩こりを引き起こすことになる。
正座をするときや椅子に腰をかけるとき、お尻をうしろに突き出すようにして腰を入れ、それから腰を立てるようにして座ることが大切である。肛門をうしろに跳ね上げるようにするといい。その上に上体を乗せ、軽くあごを引き、頭のてっぺんを上方に引き上げるようにすると、正しい姿勢になる。しっかり土台をつくれば上体に力を入れる必要がない。最初はきつい感じがするかもしれないが、慣れてしまえば長時間すわり続けても疲れない。
腰を立てると、腰椎の関節がそろう。腰は少しそり気味になったときに関節がそろうようになっている。そうすると腰の筋肉や靭帯がゆるむ。腰がそり気味なるのは人間が4つ足動物であった頃のなごりである。逆に、腰をまるくすると腰椎の関節は引き離されて筋肉や靭帯が緊張する。これが長時間つづけば腰や背中が痛くなる。
インターネットを見ていたら、立腰道とか立腰のすすめというページがあった。偉大なる教育者・哲学者の森信三先生が、「腰骨を立てる」という姿勢をすすめているというのである。
立腰道(りつようどう)
森先生は「およそ,古来東洋において道と名の付くものはいやしくも茶道や華道,踊りや謡曲等の芸能に始まり,さらに弓道や剣道等の武道にいたるまで,全てこの根本の姿勢というか態度を厳しく言ったものであります。私が提唱し力説するこの「立腰道」,すなわち「腰骨を立てる」ということは,単なるわたくし一人の個人的な体験に根ざすものではないのでありまして,実は民族の長い歴史的伝統に根ざす全ての求道の中に,すでに内包せられている真理であります。否,むしろ東洋における「道」の中に浸透し,伝承せられてきた人生の具体的真理と言って良いでしょう。」と言っている。(「性根の入った子にする”極秘伝”」)
やってみると分かるが、腰を立てると気分がしゃきっとする。心が引き締まり、集中力が高まる。姿勢をよくすると肩こりや腰痛になりにくくなるばかりでなく、精神的にもいろいろプラスの現象が現れる。
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